偶然こちらのブログを見させていただきました、岩健と申します。
美しい画風が素晴らしく、ついついコメントを残させていただきました。さぞ時間がかかったことでしょう。動きを感じる物語です。
邦画時代劇へのオマージュということで、実に興味深いです。ぜひまた訪問させていただきたく思います。
はじめまして、りんごでございます。
記念すべき第一回目に、思いがけないご厚情のプレゼント!
勇壮なお名前にしては、繊細な情感に恵まれていらっしゃる
控えめで、文章全体がニッコリと微笑んでおられるような、
ソフトなタッチは、まさしく、りんごの好みでございます。
やはり美しい……と言われるのが一番うれしいですねぇ(涙)
え?!あ、ワタシのことじゃないのか、失礼いたしました。
ええ、まぁ、世間一般、日本人の心の原点を中里介山原作の
「大菩薩峠」と白井喬二原作の「富士に立つ影」とする傾向
大ありですが、富士の佐藤菊太郎はともかく、りんご的には
ニヒリストヒーロー机龍之介には全く感情移入が出来ません
苦悩の具現者だか何だか知らないが「人の生命を食わねば生
きていけない」だとぉ。サイコ野郎のハタ迷惑、こういう輩
時代劇には結構多いんですが、それを取り巻く脇役キャラが
実に魅力的なんですよね。素朴で純粋な従者が誠心誠意主君
に尽くしぬいた挙げ句自ら生命を捨ててゆく。このシンプル
なハートは複雑に錯綜した現代劇では表現できないでしょう
内田吐夢監督入魂の三部作1957年東映の「大菩薩峠」もブルドッグみたいな主役より岸井明氏の与八ばっかり観てました
2002年の山田洋次監督構想10年とかの「たそがれ清兵衛」も
神戸浩氏の直太だけを追っかけてたような記憶があります。
身分社会なので人同士の距離が明確、美しい日本語と振る舞い。これから時代劇を観てみようと思いますと言われるのが
最高にうれしいです。岩健さんも一日のライトオフの前のひ
とときを、どうぞいにしえの大和心でくつろいで下さいませ
とはいえ、西欧の呵責なき科学的探究心も道には必要なので
外国文化も映画も歴史も語り合うサイトにしたいと思います
どうぞ宜しくお願い致します。というところで、自己紹介を
兼ねて、好きな日本映画についてくっちゃべりたいのですが
まず今夜は、我が邦画現代劇の永遠のベストワン作品である
1948年公開の「酔いどれ天使」。黒澤明監督と三船敏郎氏の
あまりにも高名なコンビネーションの記念すべきオープニン
グですが、三船氏の前作、谷口千吉監督の「銀嶺の果て」で
カメラを構えた黒澤監督の、これは一目惚れでしょ。戦地帰
りの三船氏の、超克とさえ呼びたい位の彫刻的なあの美貌に
メタンガスの浮く泥沼は、戦後の混乱と
悪意に満ちた人生の比喩。
去来するガード上の電車は、満ち潮
引き潮の交錯する、人間の運命。
飲んだくれ医師と、若いヤクザを繋ぐ酒は
男哀史の涙の象徴。
病み倒れた松永を見守る影絵人形は苦悩の宇宙で
彼を待つ家族の幻影。
絶命した松永をいとおしむように
一度は引いたカメラが、再び彼のもとへ戻ってくる。
男騒ぎ映画の原点にして、血塗られた鍵盤のうえを
火のような波立つ激情で奏でられた、この狂詩曲は
日本映画の最高峰として長く君臨していくことでしょう。
どうも、ご返信を昨夜見てみたら、経験不足で行が乱れまく
っておりやり直しをさせて頂きました。また、明日よろしく
お願いいたします。コメントどうもありがとうございました
自己紹介第二夜ですが、大好きな夏の夜に語りかけるお相手
がいてくださるだけでひとり勝手にときめいております(笑)
古代人は、人の魂を惑星や恒星で満たされた夜空として想い
描いたそうですね。神秘的な夜の旋律にデジタルナルシスト
農薬だらけの毒りんごが、岩健さんとバーチャルリアリティ
交際なんて……忘れ難い夜をありがとうございます。自分自身
の魂の中にいる人物が、色彩や音色を通して他人の言葉を聴
くなんて最高に甘美な人生の交感よね。そういうハリのある
ロマンライフには映画は欠かせませんね。映像の感動は百万
言をついやしても足り得ない、電光石火の威力を持つもので
かくいう、りんごっこの劇画における理想とは、ひとことの
セリフの介入も許さない(必要としない)絵ヂカラ!であって
映画でいえば、撮影力!ということでしょうか。あまり何か
を学ぶために観たいとは思わないですしね、あくまで興奮し
陶酔させてくれるものとしての敬意、どちらも画面に映画的
な演出のみごとさを唸るほど封じ込められるかだと思います
剣禅一如の境地を目指して苦悩する求道者としての宮本武蔵
物語ほど日本人に好まれる題材も少ないと思いますが、その
中のひとつである映像作品、巨匠内田吐夢監督が年に一作、
精魂を傾けた東映映画「宮本武蔵」(1961年から1965年)。
この時代劇落日期の最後の記念すべき本格派時代劇でぬぁん
と、巌流佐々木小次郎に抜擢されたのが、ひぇ~高倉健さん
うう……出てくる度に繁華街の立て看板にしか見えないよぉ、
(涙)ラストなんか、なんでフナ島にこんな派手な看板がぁあ
ああっ、ごめんなさいファンの皆様、なんて失礼なことを!
ダメだよ健さん!女性を口説くときにニヤニヤしちゃあ~
とか、刀構えてぴょんぴょん跳ねちゃあダメだよぉ、とかさ
もう観てて疲れるのなんのって、いえね何が言いたいかって
あの健さんの、りんご的に最高作ではないかと思ってるのが
「緋牡丹博徒花札勝負」。1969年東映の泣く子も黙る藤純子
さんの有名シリーズ緋牡丹博徒の客演なんだけどこの健さん
はカッコイイ!渋い味わいで画面を支配している。スゴイ!
なんたって道ですれ違っただけで、あの女傑お竜さんがまい
っちゃう。一味違う渡世人だってことが分かるんだねぇ!
りんご的には1966年の「沓掛時次郎 遊侠一匹」とともに
加藤泰監督にとっても最高傑作ではないかと思う位ですわ。
仁義渡世の暗闇に生きる人たちが、学問に生きようとする若
い恋人ふたりの「ギリギリの切ない美しいまごころ」を生命
をかけて守り抜く。お互いに燃える想いを秘めながら、この
世では叶わぬ夢がそれぞれに、雪に散り花と舞う。主役二人
の美しさ、抑制された色彩と、禁欲的な表現で描かれた孤高
の輝きを放つ、シリーズ中の最高傑作。やっぱり健さんって
存在感抜群の俳優さんだったのね~~と思い知ったところで
岩のほうの健さま、お付き合いありがとうございました。
有名な牧師を訪ねた一人の男性がこう言いました。
「先生、ワタシは悲しみでいっぱいです。
孤独で、なんのよろこびもありません」
牧師はまず、教会に行くことが一番だとさとして
「でも、休みをとってサーカスに行っておいで。
ピエロが傑作、ホントに面白いよ」
「ハイ、実はそのピエロがワタシです」
大好きな小咄なんですけど、でも、もし、私が牧師だったら
映画を観ることをオススメしますね。少なくとも日本の文化
を研究に来ている外人さんに乞われたら、迷わずこの一本。
1938年公開の、日活製作、配給「忠臣蔵 天の巻 地の巻」
日本人に最も愛された映画の題材は、言うまでもなく忠臣蔵
ですが、ひとコマに残存する夢とロマンが、もうケタ違い。
「日本映画の父」と呼ばれD・W・グリフィスになぞらえて
グリフィス・マキノと称していた、日本映画の偉大なる大君
牧野省三氏の没後10周年を記念した、長男マキノ正博(雅弘)
と池田富保監督の演出になる、邦画史上最美最麗の忠臣蔵。
タイトルで、まずは「日活東西総動員」の文字に度肝を抜
かれますが、実際日活の黄金期にオールスターキャストで
製作され、空前のヒットを記録したそうです。ただ、諸事情
により1953年に再公開されたものの、こんにち観られるもの
はビデオ化された、102分の総集編のみで、場面も飛び飛び
画質良好とはいえないけれど、かえって長過ぎない分、その
気品と流麗さは際だっており、かつての日本映画の隆盛を偲
ばせて余りある出来と認識しております。日本映画界最大の
スーパースター阪東妻三郎の大石内蔵助は、牧野省三氏の夢
であり、火事で大半が焼失したり、配役のトラブルで多くの
スター俳優を失うなどの不幸に見舞われた1928年「忠魂義烈
実録忠臣蔵」における、牧野氏の無念は報われましたよね。
前近代的な忠君思想の美学から、片手落ちの幕府の政道批判
による反逆のドラマやら、はたまた山田風太郎氏の「忍法忠
臣蔵」のような奇怪な作風と、様々な「忠臣蔵映画」が誕生
しましたが、歌舞伎座で鑑賞しているような錯覚におちいる
本作の持つ伝統的、正攻法の論調、全編を彩る邦楽の魅力、
ゴシックホラーを思わせる山本嘉一氏の上野介の無気味さ、
牧野省三氏の創作と伝えられる「立花左近」の場での阪妻・
若き日の千恵蔵対決の迫力、ことに後半の義士討ち入りは
すぐれた宮廷舞踏のごとき美しさで酔わされますが、りんご
的には、浅野内匠頭のご切腹シーンにおける介錯人の所作に
毎回、眼が釘付け。選別された上級武士の方でしょう。胴長
短足純日本人的体型にもかかわらず、ぶっといおみ足の動き
は一流のバレリーノの華麗なるパフォーマンスを思わせ昔日
の文豪による儀式的ご最期に、激しく共感させて頂きました
これほどの時代劇映画が、二度と作られないことは確定事項
であり、鑑賞の度に万感胸に迫ります。世代の断絶、人種の
差違、遙かな時空を越えて輝く先人の業績を追い求める日々
の旅りんごの、最愛の作品につきまして、お付き合い頂きま
してありがとうございました。岩健さんのマイベスト作品のお話も楽しみにしております。コメント有難うございました